第1章 売れない日々
● 給料泥棒と呼ばれて                                     (mag01)

 「セールスなんて嫌だ!」と思うことがあるのは、あなただけではありません。安心してください。私もずっと嫌でした。理由は何故か?
 売れないからです。どんなに商品を説明しても、どんなにお客様に尽くしても、売上を伸ばせないからです。売上を伸ばせないのに給料は頂きました。上司につけられるあだ名は、『給料泥棒』。食事に誘われて、そこでも給料泥棒と呼ばれ、給料泥棒だからと、私用にも利用される日々でした。そういう時に考えるのは、『辞めたい』・『自分にはセールスは向いていない』ということでした。
 しかし、私は『営業は天職だ!』と声を大にして言いたい。それは『お客様に喜んでもらえる嬉しさ』を知っているからです。縁もゆかりもない赤の他人に喜んでもらえたら、誰だって嬉しくなりますよね。この喜びをまた味わいたいと、もっと他のお客様にも喜んでもらおうと自然に思います。人間にとって、他人に認めてもらうこと以上の喜びはないんです。更に、普通営業成績に応じて給与もアップするんです。

 他人を喜ばしてお金までもらう、こんなラッキーな業種って他にありますか?
 更に更に、営業を経験した人は、いろいろな会社・いろいろな人とお会いできるために、必ず視野が広くなります。そして何度も断られるおかげで、忍耐力が付きます。あなたが万一今の会社を辞めることになっても、この視野の広さと忍耐力さえ持っていれば、どんな環境下でも結果を出すことができます。保障します。

 こんな給料泥棒と呼ばれた私が、何故『営業は天職だ!』と考えることができたのかというと、1人のお客様と1人の上司のおかげです。そのお客様はこういわれました。

 『案内は多く、次第に興味を持ち出したところに君が来た。多くの営業マンに比べて君が1番失礼な態度だった。それでも君の会社と契約したのは、君の失礼な態度の中には、本音があったからだ。他の営業マンは都合のいいことしか言わないように思えた。君のことを買ってみたいと思ったから君と契約した。』

 私は同期入社の社員の中で営業成績が1番悪いグループにいたので、この初めてのお客様にお会いするまでに8ヶ月もかかったんです。初めてのお客様にこんな言葉をかけていただいたときは、目からウロコが落ちました。

 自分に何が足りないのか?

を自覚させられたお言葉でした。しかしこの後も営業成績は伸びません。そのときに上司に言われました。

 『私は君がかわいい。君が昇格して一緒に会社を良くしていきたい。会社が上場したときには管理者でいて欲しい。そのためにも君の営業成績をあげるために一緒に勉強してみよう。』

 はじめてのお言葉でした。それまで他の上司に泥棒と呼ばれていた私に、かわいい、昇格して欲しい、と言っていただいたことの喜びは、決して忘れることはありません。
 『この人のためにお役に立ちたい』
 そう思うと、今まで何が悪かったのか?どうすれば良くなるのか?と物事をポジティブにしか考えられなくなったんです。そうすると覚悟が生まれてくるんです。自発的に腹をくくるんです。そうなってくると行動が変わってくるんです。
 他人のやさしさに触れたら、人は変われるんです。実はこの上司とは 社長 です。当時私が勤めていた会社は400人近くの社員を抱える会社でした。400人も社員がいるんですよ。普通新人の平社員がお話できる機会などありえないほどお忙しい会社の長が、直々にお言葉をかけて下さったんです。だからこそ、言葉にできない感動があり、今でも忘れられないんです。

 このお二人から頂いたお言葉のおかげで私は『営業は天職だ!』とはじめて考えられるようになりました。そこで次回は初めてのお客様から教えて頂いたものをご紹介いたします。
 是非新人社員だったころの原点に戻って次回はお楽しみください。今週からではありますが、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございます。
 では、また来週 Have a good Week !!!!

次回予告:初めてのお客様が教えてくださったこと。                 (mag02)


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